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2030アジェンダの意味とは?SDGsとの関係やファッション業界の取り組みも解説

2030アジェンダとは、2015年に国連で採択された2030年までに成し遂げるべき、人と地球に関する行動指針です。その中核を担うのが、持続可能な開発目標(SDGs)です。この記事では、2030アジェンダの意味やSDGsとの関係について解説し、ファッション業界における取り組みについても紹介します。

2030アジェンダとは

いろいろな人がサステナブルについて討論

出典 Shutterstock

2030アジェンダは、2015年に国連で採択された国際社会全体の目標と、行動指針を示したもの。2030年までに世界で達成しなければいけない人権や、環境などの目標を定めました。ここでは2030アジェンダについて解説します。

2016年から2030年までの開発目標

2030アジェンダは、2015年9月の国連サミットで採択されました。その内容は、持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するために、2030年までに達成すべき17の持続可能な開発目標(SDGs)を定めたものです。正式名称は「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」。日本語の仮訳版では36ページにわたり、序文、宣言、持続可能な開発目標(SDGs:17ゴール、169ターゲット)、実施手段、フォローアップ・レビューと細かく構成されています。

ミレニアム開発目標(MDGs)に代る新たな目標

SDGsの前身は、2000年に国連のサミットで採択されたミレニアム開発目標(MDGs)でした。MDGsが2015年に達成期限を迎えたため、MDGsに代わる新たな世界の目標としてSDGsが制定されたのです。MDGsは発展途上国向けの開発目標、先進国による途上国の支援を中心としていました。一方SDGsは誰ひとり取り残さないことを目指し、先進国と途上国が一丸となって達成すべき目標として掲げられています。

2030アジェンダの中核であるSDGsとは

背景に森とSDGsのマークが囲む地球

出典 Shutterstock

2030アジェンダの中核を担うのが、SDGsです。前身のMDGsよりさらに範囲を広め、全人類が一丸となって達成すべき目標として定めました。ここではSDGsについて解説します。

持続可能な開発目標

SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略です。内容は、17のゴール(目標)と169のターゲット(具体的な目標)から構成されています。大きな特徴は、普遍性、包摂性、参画型、統合性、透明性の5つです。

2030年までに世界で達成すべき17の目標

SDGsの17の目標をそれぞれ紹介します。

目標1:貧困をなくそう
目標2:飢餓をゼロに
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標4:質の高い教育をみんなに
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
目標6:安全な水とトイレを世界中に
目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標8:働きがいも経済成長も
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
目標10:人や国の不平等をなくそう
目標11:住み続けられるまちづくりを
目標12:つくる責任つかう責任
目標13:気候変動に具体的な対策を
目標14:海の豊かさを守ろう
目標15:陸の豊かさも守ろう
目標16:平和と公正をすべての人に
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

達成に向けて「行動の10年」スタート

2020年1月、SDGsを達成するための「行動の10年(Decade of Action)」がスタートしました。この「行動の10年」は、貧困、ジェンダー平等、気候変動に持続的な解決を目指すものです。あらゆる場所のすべての人が参加し、 即効性のある行動を起こすことと、新たな発想と解決策を促進させることの3つを目指しています。

2030アジェンダとファッション業界

森の中の木にかかったカラフルな服

出典 Shutterstock

ファッション業界も、SDGsへの取り組みが広がり始めています。サステナブルにつながり最近注目を集めているエシカルファッションについて紹介します。

環境への影響が強いファッション業界

ファッション業界は、原材料の調達や、生地・衣服の製造、輸送から廃棄に至るまで、各段階で環境に大きな影響を与えています。SDGsの17目標すべてに、ファッション業界が関わっているといっても過言ではないでしょう。衣類の消費量は年々増加し、一人当たりの洋服の廃棄量も増加しています。また、衣服の製造過程で生じる汚染水や温室効果ガス、毛や皮を使うための動物の処分なども問題になっています。これからはファッション業界の大量生産・大量消費のシステムを解消し、環境問題や労働問題の改善することが課題です。

サステナブルファッションへの取り組み

サステナブルファッションとは、直訳すると「持続可能なファッション」のことです。ファッションの生産や流通において、地球環境や社会に配慮した取り組みのことを指します。2019年には主要7ヵ国首脳会議にて、ファッション業界における環境負担減少を目的とする「ファッション協定」が発表されました。ハイブランドやファストファッションブランドも「ファッション協定」に署名しています。持続可能な地球や社会環境のためにサステナブルファッションが注目されています。

エシカルファッションへの取り組み

エシカルとは「倫理的な」と言う意味です。エシカルファッションとは、「地球と人に優しいファッション」のこと。環境問題のみならず、労働問題や社会問題にも配慮して素材を選び、生産~販売までをおこないます。2004年フランスでは、エシカルファッションショーが開かれ、ヨーロッパを中心に少しずつエシカルファッションが浸透してきました。さらに、2013年にバングラデシュで起きたラナ・プラザ崩落事故をきっかけに、アパレル企業の生産現場への責任が重要視されるようになりました。

「ラナ・プラザ」は、バングラデッシュの8階建ての商業ビルです。ファッションブランドの縫製工場が入っていました。「大量生産・大量消費」のビジネスモデルを高めるため、労働者を低賃金で雇い、危険な現場で働かせていたことが世界中で問題視されました。 その結果、労働環境も含めた「倫理的な」ファッションが求められるようになっています。

積極的に取り組みをしているブランド

現在サステナブルファッションやエシカルファッションに、積極的に取り組んでいるブランドが増えてきています。

代表的なブランドは、ステラマッカートニー(Stella McCartney)です。イギリスで生まれたブランドで、設立当初から皮革や毛皮を使用せず、再生カシミアを採用して環境負荷を1/7まで軽減しています。

スウェーデンのファストファッション・ブランド の H&Mは、「CONSCIOUS PRODUCTS(意識ある製品)」を展開し、サステナブルな素材を20~50%以上を使用。

またグッチ(GUCCI)では、積極的に人と地球のためのプロジェクトを立ち上げています。他にも環境に及ぼす影響に配慮してデザインした「Gucci Off The Grid」コレクションは、再生素材やオーガニック素材、バイオベースの持続可能な原料のものを使用しています。

消費者ができる取り組み

実際に消費する私達にできることは、企業の取り組みを知り、サステナブルを基準とした買い物をすることです。また、不要になった衣類を再利用することも、サステナブルにつながります。自分にとって不要なものでも他の人には必要なものかもしれません。リユースショップの活用や寄付などを積極的に考えてみましょう。他にも、永く愛用できる衣類を購入すれば、安さやトレンドだけを追求せずに、無駄なく服を使うことができます。

2030アジェンダについて理解を深めよう

風車が立ち並ぶ草原で走る女性

出典 Shutterstock

SDGsは私達個人も取り組むべき問題でもあります。2030アジェンダとSDGsを理解して、地球環境や社会に関心を持つことが大切です。まずは身近なファッションブランドの取り組みを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

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kaya
サムネイル: kaya
いつか欲しいものはエルメスのバーキン。それが似合う女になるべく、自分を磨いています。